先日、新しいパソコンへの引っ越しのため古いパソコンに入れていたIMEシステム辞書を、新しいWindows11のパソコンに移して登録しようとしたところ、以下のようなメッセージが出て登録できませんでした。


そ、そんな。。。昔から使っている辞書や今まで溜めてきた単語たちは使えないのかな?
試行錯誤の末、なんとか昔のパソコンに登録した従来のシステム辞書が使えるようになりました!
今回はその方法をお伝えします。
Windows10、Windows11では従来使っていたIMEシステム辞書が登録できない!?

新しいMS-IMEへ
日本マイクロソフトによると、Windows 10 version 2004 以降 IMEが変更になっているため、従来のIMEで使っていたシステム辞書が使えなくなっているようです。自分で単語を登録することはできますが、システム辞書の登録画面がなくなっています。
https://jpwinsup.github.io/blog/2021/02/26/UserInterfaceAndApps/ServerManagement/new_microsoft_IME/
日本マイクロソフト公式サイト(Windows 10 version 2004 からの新しい Microsoft IME (Input Method Editor) について)
私の場合はWindows11のパソコンに登録しようとしてできなかったのですが、Windows10をお持ちでWindows Updateを正しく更新していらっしゃる方も上記に該当するので、同じ現象が起きると思います。
新しい機能が利用できる反面、従来のものが利用できない(互換性がない)のはWindowsユーザーとして残念に思うばかりです。私としては、新機能よりも従来の辞書を利用したいので、何とかならないか試してみることにしました。
従来のIMEで利用されていた辞書とは?
WindowsのMS-IMEで使われている辞書は「.dic」ファイルとして登録してあり、郵便番号辞書や単語辞書などMicrosoftから提供されていたり、Web上で顔文字辞書などあることに特化した辞書が無償で提供されていたりします。これらを登録することで、変換候補に単語が表示されるようになりとても便利に文字入力できます。
- IME
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漢字やひらがな等を入力するシステム。マイクロソフト社が作成したものはMS-IMEと呼ばれている。
- IMEに登録できる辞書
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ユーザー辞書(その都度1つずつ単語登録する)と、システム辞書(一括して単語が登録されているライブラリ)とがある。
Windows10、Windows11で従来のシステム辞書を登録する方法

辞書ファイルの準備
まずは、従来使っていたシステム辞書ファイル(〇〇〇.dic)を準備します。準備した辞書ファイルはこのままでは登録できないため、バイナリーエディターで一部を加工します。
- バイナリーエディター
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コンピュータが読める文字列が保存されたファイル(バイナリーファイル)を編集するソフト
この作業を行うことで辞書が壊れる可能性もありますので、必ずバックアップを取っておいてください。
こでは有名なフリーツールの「Stirling」を使います。Webからダウンロードして起動してください。ちなみに、Windows11でも使えました。
https://www.vector.co.jp/soft/win95/util/se079072.html
Vectorのダウンロードサイト(バイナリーエディター:stirling)
作業1:バイナリーエディターで辞書ファイルを開きます。

作業2:ADDRESS 00000040 の最初の「01」となっている部分を「00」に変更します。変更出来たら上書き保存してください。これで登録する辞書ファイルの準備は完了です。

従来のMS-IMEを使えるようにする
次にWindowsのIMEを、「従来のIMEが使える設定」にしなければなりません。そうしないとWindows10 version2004以降はシステム辞書の追加や削除できる画面がなくなっているので、表示すらできません。ここからは、画面を見ながら解説していきます。
(1)タスクバーの右下に表示されている「あ」または「A」を右クリックして、IMEのメニューを表示し、「設定」を押します。

(2)表示された画面で、「全般」をクリックします。

(3)全般の画面の下の方に「以前のバージョンのMicrosoft IMEを使う」のスライドボタンがありますので、オンにしてください。そうすると、右のような確認画面が表示されますのでOKを押します。


以上で従来の古い形式のIMEが利用できるようになりました。
(代わりに、最新の機能は使えなくなります。)
システム辞書の登録
先ほどと同じく、タスクバー右下のIMEを右クリックします。そうすると、先ほどとはメニュー内容が異なっていると思いますので、その中の「プロパティ」を選択します。

Microsoft IMEの設定画面になりますので、一番下の「詳細設定」をクリックします。すると右の画像の画面が表示されますので、「辞書/学習」タブをクリックします。その後、下の方のシステム辞書の「追加」ボタンを選択します。


ダイアログが表示されますので、今回登録したい辞書を選択します。そうすると、システム辞書に今回登録したものが表示されますので、使用する場合はチェックを付けます。


以上で、IMEへのシステム辞書の登録は完了です!
番外編:パソコン内に自分で登録していた単語を取り出すには

以前使っていたパソコンのIMEから「自分で登録していた単語」(ユーザー辞書)を取り出して、新しいパソコンに移したい場合、辞書(.dic)またはテキスト(.txt)として取り出すことができます。
IMEの設定を開き、「学習と辞書」を選択し、「ユーザー辞書ツールを開く」を選択します。


- 上記右側ユーザー辞書ツール画像内の番号の動作は以下の通りです。
(1)一覧の出力
現在登録している単語の一覧をテキストファイル(.txt)として保存することができます。
(2)システム辞書の作成
現在登録している単語の一覧をシステム辞書(.dic)として保存することができます。ただし、Windows10 version2004より前のIMEで取り出したシステム辞書を、それ以降のIMEで取り込もうとしてもエラーになります(前述のとおり)。
(3)Microsoft IME辞書からの登録
システム辞書から、自分パソコンのIMEユーザー辞書にデータをコピーできます。システム辞書内の単語すべてを登録するため、単語数が多いと登録に時間がかかります。登録したデータは前述の(1)、(2)の方法で保存して、他のパソコンにも反映できます。
(4)テキストファイルからの登録
テキストファイルで保存された単語データをIMEユーザー辞書にコピーできます。(3)と同じ方法で他のパソコンにも反映できます。
まとめ
Windows10、Windows11へのIMEシステム辞書の登録方法をご紹介しました。今回の方法では、バイナリーエディターで加工する必要があり、難易度が少し高いですが、どうしても辞書を使いたい場合はこうするしかないようです。
ちなみにシステム辞書登録後は、元の(最新の)IMEに戻しても辞書はそのまま有効になります。
最近ではクラウドが発達したおかげで、Google日本語のようにWebで使われる用語や辞書がオンラインから瞬時に取得して表示できるようになりました。今の時代にはこちらのほうがあっていますが、専門職の方などはカスタマイズされた専門用語辞書が必要かと思います。これからも過去の機能を踏襲してほしいですね。