個人で事業をされている方、少人数の事務所でお勤めの方、または事務作業をする社員が10名程度の
中小企業でお勤めの方、職場でのファイル共有やバックアップはどのようにされているでしょうか?
- ファイル共有はUSBメモリでやり取りしているよ!
- バックアップ?自分のパソコンの中にデータを保存できていれば大丈夫でしょ!
このような職場がまだまだ多いと思います。
しかし、そのままの状態ではいざという時に最悪の結果を招きかねません。

どうすれば今よりもっと安全に、安心して仕事ができる環境を作れるか一緒に見ていきましょう!
職場のIT環境について
前提条件
今回紹介する方法は前提として、あまりIT関連の知識がない一般的な事務作業の現場の話として聞いてください。
というのも、IT関連の知識がある職場では、ファイル共有方法やバックアップなどは滞りなく整ったうえで仕事を
していると思われるからです。そういった職場では、今回紹介する方法のはるかに上の段階のファイル共有方法や
バックアップ方法を確立されていることでしょう。
私が今の会社で情シスとなったときも、IT関連の専門知識がある人がいなくて、IT企業から転職してきた
私にとってはすべてが「危なっかしいやり方で仕事をしているなぁ」という印象でした。
こういった職場では、個人が作った資料は個人のパソコンの中にしか保存されていないことがよくあります。
良くても外付けハードディスクに、たまにバックアップを取る程度であったり、USBメモリーがバックアップとして
役に立つと思われてずっとその中にデータを保存していたりといった具合でしょうか。
USBメモリは簡単にデータのコピー、受け渡しができてどんなパソコンでもUSBポートがついているので、
ファイル共有としても重宝されているかと思います。
しかし、この方法ではパソコンが突然故障した、USBメモリが読み取れなくなったなどが起こった時に
最悪の場合大事なデータが復旧できず途方に暮れることになりかねません。
もっと安全に、安心できる方法でファイル共有やバックアップを行っていきましょう。
安全なファイル共有とバックアップ方法の紹介
その方法とは?
それでは、上記のような前提条件にあう職場の方にその方法をご紹介します。
その方法とは、NASと呼ばれるネットワーク上のファイル置き場を設置することです。
一般に”ナス”と呼ばれるのですが、Network Attached Storageの略称で、簡単に言えば
職場のネットワーク(LAN)に接続されるハードディスクのことです。

どのように使うのか?
詳しい使い方は後で述べますが簡単に使い方を説明すると、まずはNASを購入しLANケーブルで職場の
ネットワークにつなぎます。
そうすると、同じネットワークにつながれているコンピュータからNASの中を見ることができて、
あたかも自分のパソコンのフォルダ(ファイルを入れる場所)と同じかのように使用することができます。
どんな機器を購入すればいいのか?
NASにも種類がたくさんありますが、購入する際に大事なことが2つあり1つは保存容量になります。
まずは購入するNASの容量を決めるために、今現在の職場で利用しているデータの容量合計がどれくらいあるのか
を調べましょう。その後、この先の数年でデータがどれくらい増えるかを予想しないといけないのですが、
NASの寿命がおよそ10年程度と言われていますので10年間でどれくらい増えるかを考えるとよいと思います。
また、NASも容量が多くなるとパソコンと同じく動作が鈍くなる傾向にあるため、多めの容量のものを選ぶのが
良いと思います。
それから、もう一つ大事なことがNASのハードディスクが2重化できる機種を選ぶということです。
この方法は専門用語で「ミラーリング」や「RAID1」と呼ばれるのですが、ハードディスクが2つ搭載されていて、
その2つに同じデータを記憶していきます。
そうすることで何が良いかというと、1つのディスクが故障しても、もう1つが稼働しているのでデータが
消えずに済むということです。この点がデータのバックアップにおいては重要なことになってきます。
具体的なNASのお勧めとしては、Buffaloの「LS520D0202G」という機種です。
NASを販売しているメーカーはいくつかあり、似たようなものですがその中でも上記機種は
価格と性能のバランスが取れた機種だと思います。
ただし、購入時の注意点として先ほど言いましたハードディスク2重化を行いますので、
実際に使用できる容量としては、表示されている容量の半分になることに注意してください。

ファイル共有方法について
紹介した方法での共有
先ほど紹介したNASを使うと職場の同じネットワークにつながっている人が全員アクセスできるので、
そこに資料を置いておけばつながっている誰もが触れることになります。
例えば、Aさんが作成したWord文書をNAS内の文書Aという名前を付けたフォルダに置いたとしましょう。
この時にNASにつながっているBさんは、Aさんの作成した文書をダウンロードすることなく編集できますし、
削除することもできてしまいます。
いちいち持ち運ばなくても簡単に共有ができます。
もちろん、NAS内のフォルダには権限をつけることができ、Aさんだけが知っているID、パスワードを
使わないと開けないようにすることも可能です。
USBメモリでの共有
USBメモリが普及しはじめてから、便利すぎてファイルのやり取りはこちらを利用する方が多いと思います。
簡単にコピー&ペーストできるので使い勝手が良いですよね。
さらに、USB3.xのような規格が進化してきて転送速度もどんどん向上しています。
しかし、USBメモリでのファイル共有はお勧めしません。
なぜならUSBメモリ自体や中身のデータが破損しやすいからです。
USBメモリの中だけにファイルがある状態で故障してしまったら復旧は絶望的になります。
故障の前兆があまり分からないので怖いですね。
または大事なデータをUSBメモリごと紛失してしまったり、私も経験がありますがポケットに入れていて
そのまま洗濯してしまったりすることがあるかと思うので、注意が必要です。

クラウドでの共有
インターネットに接続しているパソコンでしたら、インターネット上でファイルを共有できるサービスも
いくつかありますね。
しかし、こちらは遠隔地でのやり取りであれば利用価値が大いにありますが、社内だけで共有する場合は
通信速度や月ごとにかかる費用を考慮するとあまりオススメとは言えません。
ファイルのバックアップについて
紹介した方法でのバックアップ
NASを購入する際にハードディスクの2重化をオススメしましたが、これによってファイルのバックアップ場所
としての役割も果たします。
自動的に2重化されますので、パソコンの本体にファイルを置いておくよりも少なくとも2倍は安全と言えます。
どちらかというと、全てのファイルをNASにおいて仕事をしたほうがより安心ですね。
外付けハードディスクでのバックアップ
昔からあるUSBタイプの外付けハードディスクへ定期的にバックアップしてるよという方もいらっしゃると
思います。
しかし、購入している外付けハードディスクが2重化されている可能性は低いかと思いますし、
持ち運びすることでディスクへの物理的なダメージが蓄積されて故障などというケースもあります。
ずっと保存しておきたいファイルを保管しておく場所としてはオススメできません。
CD、DVDでのバックアップ
以前はCDやDVDでバックアップとして保存するケースも多かったと思いますが、
こちらの場合は容量があまり入りませんし、ファイルの書き込み速度も遅いので
オススメできません。
クラウドでのバックアップ
クラウドへのバックアップは自社にデータを保管しておくよりも安全な場合が多いですが、
サービスにサブスク料金がかかることと、大手であればよいですが急な倒産やよるサービス終了が
ないとは言い切れないので、そういったリスクを考えるとこちらもあまりオススメできません。
メンテナンス
購入したNASについてですが、耐用年数としては5~10年程度になるのでいつかは交換が必要になります。
前回と同じメーカーのものを購入すればデータの移し替えも容易にできます。
そのころには自社のファイル容量も随分増えていると思われますので、再度購入する機種の容量を検討しましょう。
まとめ
小規模な職場でのファイル共有の方法と、バックアップの方法を解説しました。
今よりももっと安全、安心して仕事ができるようにNASの購入をオススメします。
ぜひ、導入してみてください。
